主に楮を漉く産地黒谷和紙で紙を漉いています。
様々な紙を漉いていますが
主に下記の紙を中心に漉いています。
08年より、冬の間は干しネリといって
防腐剤処理のしていないノリ料(乾燥or冷凍保存)で紙を漉いています。
4月〜11月は防腐剤処理(ピケオール)したネリまたは化学ネリを使っています。
■楮紙・地元楮・紀州楮・四国の楮を中心に
障子紙(自家栽培楮、干しネリ使用)
壁紙(土・填料入り楮紙)
那須楮の文化財修復紙
那須楮の版画用紙
強成紙
後染楮紙
油紙
他、楮紙全般
■三又
便箋用
三又、楮混合紙
他、薄物を中心に
▪︎煮ごしらえ
冬の間に収穫された楮は、蒸して皮をへぎ
その後、黒谷のおばさんたちに表皮を削っていただき
白皮にして干します。
干した白皮は倉庫に保管し、必要分楮を一晩水に浸けます。
▪︎楮の煮熟
一晩水に浸した楮を大釜でソーダー灰(アルカリ成分)とともに煮ます。
約2時間煮た後、2時間以上蒸らして次の工程へ
アルカリ成分で煮るのは、楮を軟化させ、水溶性の不純物を溶かし出すためです。
楮は木の皮。放っておけば、土に還ろうとします。
土に還ろうとする成分を取り除き、永く保存ができる紙を作ります。
大切な記録、大切な作品がずっと残るよう、大事な工程です。
▪︎釜から楮をあげる
▪︎楮見出し
流水に晒しながら、アクをぬき、チリや硬い繊維などを取り除いていく作業です。
紙の種類によって、どれだけ晒すか?どれだけチリをとるかは違います。
夏は気持ちのいい作業ですが、冬はとても冷たく、手先の毛細血管が冷え、冷たさが体をめぐり、腹の底まで冷える作業です。
▪打解、叩解
見だした楮を打解機で叩きます。
この作業をすることによって、楮の繊維がフィブリル化(強い刺激や摩擦によって毛羽立つ現象)し、結果、繊維一本あたりの表面積が増え、より繊維が絡み、結合します。
和紙は水結合という方法で一枚のシートになります。
なので、繊維の結合部が多い方が、より強い紙になります。叩けば叩くほど、しなやかでキメの細かい綺麗で丈夫な紙になります。
打解機の後はビーターという機械でほぐしていきます。
▪︎紙漉き
水を張った大きな漉き舟のなかに紙素を入れ、トロロアオイの根っこを潰してとったネリを合わせて
簀桁という道具を使って紙を漉きます。
ネリは水と紙素をつなげ、水に粘りを持たせ、簀桁の簀から水の落ちる速度を調整し、ゆっくり水が落ちている合間に繊維を絡めるように簀桁を揺すります。
水を汲み込んだ簀桁は重く、その重量を支えるために、竹で作った弓に吊った状態で、簀桁を操ります。
朝から晩まで同じ紙を漉くのが一番難しく、根気のいる作業ですが、道具は色々よく考えられていて、疲れないペースで同じリズムで紙を漉いていきます。
職人として一番難しいことはなんですか?とよく聞かれるのですが、暮らせるだけの紙をコンスタントに漉いていくことと答えています。
紙は素材であります。昔から多くの人に使って頂きたい思いで、ギリギリの価格設定になっています。そんな仕事でも暮らしていくため、無駄のない動き、スピード、安定感を求めて紙を漉いてきました。
漉いた紙をジャッキで絞って、一枚一枚剥がし、板や鉄板に張り付けて乾燥します。
小さな紙は天日干し。大きな紙は火力乾燥。
黒谷の風景が一望できる小さな紙を干していると、昔から続く仕事とともに、昔の暮らしと繋がれているような気がして、ほっと落ち着きます。
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