
6月のひと月間、東北芸術工科大学で和紙の実習をしていました。
大学には、特に和紙科というものがあるわけでもなく、
様々な科の生徒を対象に、共通演習ということで
集中的に和紙を教えるというものです。
まずは、和紙を知ってもらおうと、まずはブックカバーを作り

その後、和紙のイメージをもって、紙漉きの作業。
使用した楮は、高知の白皮にしたもの。
原料を煮て
あく抜き、チリよりをし
その原料をたたいて


そして、紙漉き

その後、再び、ブックカバーや箱を作りながら
1か月、あっという間に過ぎていきました。
持ち込んだ道具は中国製のスゲタのみ
テキスタイルの教室ということで、鍋などの設備は整っていたので、助かりましたが、
それでも、ほかの道具は現場で工夫して手作り。
そんな中でも、本格的に紙が漉けたことは
生徒にとっても、自分自身にとっても大きな自信になりました。
特に紙を使う日本画や版画の生徒は、特に紙に向ける思いは強く
より、美しく、なめらかな紙面を作るために、授業後も残り、紙漉きや作品制作にのめりこんでいました。
今回作ったものは、ブックカバーと道具箱。
それぞれ普段の暮らしで使えるものです。
そこに、アートの感覚を表現してもらいました。
普段の暮らしの中で使っていただくことによって
和紙という素材がいかに強くて、使っていても安心ということを伝えたかったのですが、
それと同時に、自分たちが使っている素材であったり、道具であったり(例えば筆や絵具等々)が
自分達の手に届くまでに、どれだけの思いで、どれだけの手を加えて作られているのかということを、和紙制作を通じて感じてもらい
そして、これから自分達がつくるものを受け手に伝えていくという流れの中で
いかに作品に気持ちを集中させるか?
ということが伝えればと授業を進めました。
ものつくりは、思いの連続で、それは、土から生まれるところに始まり、土へ還っていくまで続いていきます。
最後は、みんなで漉いた紙で和紙の空間(パオ)を作り
その中で一人ひとりと向き合って講評。
柔らかな閉じられた空間で、ひと月の感じたことを生徒と伝えあいました。
22人、それぞれの個性を感じることができ
バタバタとしていたけど、濃厚な時間を過ごせたと思います。
この授業、毎年続いていきます。

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