山形へ

気がつけば、ひと月更新していなかったブログ

その間、山形で東北芸術工科大学で和紙の演習をしていました。

去年に引き続き2回目。

持ち込んだ楮、芸工大で生えている楮を使い、原料を処理することからはじめた和紙の演習ですが、

今年は紙漉きと作品の支持体(絵画や立体作品を作るときのベースとなるもの)作りに取り組みました。

和紙というできたものを見ると紙にしか見えないのですが、素材のはじまりから見ると、繊維であったり、塊であったり、面だったりと様々な見え方がしてきます。

あくまで紙は楮という植物から見ると、仕事として成立しやすい淘汰された形というのがわかります。

実は、この感覚というのが、私自身否定してきたもので、

職人であるからには、最終形を目指さなくては邪道だ!的な感覚に囚われてきましたが

もうすぐ紙漉きをはじめて20年も経つと、そういう風な囚われもどっちでもよくて、いいものができればいいんじゃないか?という思いが出てきているのは事実。

逆に言うと、こうも時代が進んで、目的に特化された紙が機械生産されるようになり、

がっつり紙漉きも、必然性が見えにくくなっている今、新たに芸術の道を進もうとする若い芸工大の生徒たちと楮に戯れてもいいんじゃないかと
その中で、きちんと漉いた和紙の特色、必然性をもう一度感じてもらえればと思い、授業を進めました。

ちなみに、去年はきちんと漉いた紙で箱作りをしました。

結果、ひと月という短い時間だったのけど、参加した生徒さん各々が、自分の感覚に正直に取り組み、

和紙だけではなく、パネルやキャンバス張りの絵画、今まで使ってきた素材への疑問など、多くの気づきがあったと感じています。

モノを作るとは、目的を目指して、様々な選択を迫られます。

どんな形状がいいのか?どんな紙を選べばいいのか?絵の具はこれでいいのか?自分の作るモノは何年先まで持ちこたえるのか等々。

今まで、当たり前と思い進んできたことに、もう一度自分から疑問符を投げかけるひと月になったと思います。

と言いつつも、しっかりと紙漉きの基本である、原料処理、チリより、打解、漉き、干しは教えましたよ。



楮を煮熟した後で、アク抜きとチリよりの作業


ひたすら楮の打解。
2週間ずっとやっている生徒も


何度もやっていくうちに、うまくなっていく。

手前の生徒さんは将来紙漉き職人を目指しています。


出来上がった紙を顔料、柿渋、アクリル、墨などで染めたり、こんにゃく糊を揉みこんだり。

この紙で、みんなでパオを作ります。

支持体作りにチャレンジ

楮の繊維を並べで叩いて、シートにしたり

繊維を織ってみたり

糸を紡いでみたり

できた紙を燃やしてみたり

紙素を固めてみたり

写真は、紙を漉く前の紙素を網の上で自分の好きな形においている様子


叩いた紙素を窓に貼り、楮単体で独立する支持体作り

打解前の楮を織って藍染した支持体、というか作品ですね。

打解した紙素を四角い枠に押し入れ固めた支持体

打解中に生まれた形状にインスパイアされて、鉱物と柿渋で着色した支持体の部分

これをたくさん作って、組み立てていくようです。


平行して作っていたパオ。
前面はこんにゃく糊を揉みこんだ生成りの楮紙で明かり取り

前を閉じて、この中で個人個人と講評会。


作品は未完成でいい。
ただ、何かを見つけてくれたらと思い続けたひと月でした。


最後に記念撮影。

パチリ